FAQ of argo2011

A1:会社概要について教えてください。
会社概要
社   名 株式会社アルゴノーツ
代表取締役 井筒 雅博
設   立 平成15年6月24日
事業内容映画、テレビ、コマーシャル・フィルム等の映像の企画・製作投資事業組合財産の運用及び管理
所 在 地
A2:会社代表の略歴を教えてください。
代表者履歴
井筒 雅博 京都府出身 立命館大学経済学部卒
1982年~ 西武百貨店
1988年~ 広告代理店 新通(株)
1989年~ 広告代理店 (株)第一企画(現(株)アサツーディ・ケイ)
1997年 (株)エルゴ・ブレインズ(現(株)スパイア)
設立 同社代表取締役CEO
2002年 (株)エルゴ・ブレインズ ナスダックジャパンに上場
2001年 (株)アルゴノーツ設立 同社代表取締役CEO
プロデューサーとして多くの映像作品を手掛ける
代表作としては、蒼井優主演映画
「ニライカナイからの手紙」がある
2009年 (株)エルゴ・ブレインズ 退任
(株)アルゴノーツに専念
現在に至る

A3:本当に日本映画界は危機にあるのですか?
確かに、国内の興業収入は近年常に前年比でプラスを続けていて、一見すると映画業界は潤っているように見えます。しかし実体的には街の映画館はどんどんと閉館し、中小の配給会社、制作会社の多くが倒産しています。興業収入の増大はシネコンによる効果が大きいのですが、シネコンは系列に関わりなく「売れる大作」のみが上映され、中規模予算のいわゆる普通の商業映画が上映されにくいのです。また、リーマンショック、大震災と投資マインドを冷やす大事件が続き、金証法の縛りで投資勧誘が非常に難しくなり、と資金調達自体も非常に困難になってきています。
もちろん、そういった外部環境の問題だけではなく、観客不在で、作る側(主に監督)の「撮りたい映画」のみが量産されて続けているという、娯楽産業としてはあってはいけないマーケティング不在の状況、また予算管理がほとんどなされないどんぶり勘定の横行といった資本出資側にとって理解し難い慣習もあり、コンプライアンス重視の企業社会においては映画への投資は非常にリスキーであるという認識が定着し、結果として売上は上がらない、資金も集まらないという悪循環がどんどんと進行しています。
しかし、中規模のプログラムムービーが作られないという状況は、スタッフ、キャストを育てて行く上で大変に難しい状況を醸し出しています。
長々と書きましたが、今の日本映画界、特に制作業界の状況は、まさに四面楚歌、と言っても過言ではありません。
A4:ひょっとすると映画産業はもういらないのでは?
この問いへの回答は単純かつ明快です。「あなたは本当に映画が無くなっても大丈夫ですか?」という問いに、大丈夫ではない、と答える人が1割でもいれば、映画産業は必要だということです。
映画と言う映像コンテンツの持つエモーショナルな魅力は、暗闇で見るという非日常性とシンクロして、人の情動に深くしみ込みます。
そういう体験を一度でも味わった人であれば、映画が人生にとって不可欠になることは疑いがありません。
では、日本映画は必要なのか?、という問いもあるでしょう。
ハリウッド映画や、韓流映画があれば十分、という考えもあるでしょう。しかし、日本と言う古来より優れた情感を持った文化を創造し続けた国に生まれたものとして、日本発の優れた映画、面白い映画が無くなるのは正直言って悲しすぎます。
前記の通り、今現在、そしてこれからより一層日本の商業映画制作をめぐる環境は悪化していきます。
しかし、ひるがえって考えれば最大の危機は最大のチャンスなのです。日本の商業映画が衰退した原因は、ある程度はっきりとしています。その悪い部分を改め、良い部分を伸ばす、産業=ビジネスとして当たり前のことを、当たり前のこととしてきちんとやり遂げる、それだけで、随分と映画を取り巻く状況は変わって行くと確信しています。そして、旧弊を排して、新しい道を歩む覚悟を持った若い映画人もたくさん生まれてきています。
私としては、これからの10年は、日本映画界にとってのルネッサンス期になる、というかそうしなければならない10年だと考えています。
A5:製作委員会への投資は金証法上問題ないのでしょうか?
金証法の施行以来、製作委員会への投資、特にその組成勧誘行為はグレーゾーンとなり、非常にデリケートな問題になっていました。それが、特に一般企業の映画投資意欲を減退させる一因になっていたように思われます。
製作委員会への出資が金証法の範囲から除外されるためには、出資者が製作委員会の事業に従事しなければならない、という規定が特にグレー感を強めていたのです。
しかし、今年に入って金融庁から、国是としてのコンテンツ振興の観点から製作委員会(任意組合)への出資は一定の要件を満たしていれば金証法の適用外とするという明文規定が出され、先に書いたグレー部分がかなり明確になりました。
従前の「全面的な従事」というニュアンスが「一部分の従事」という表現で明文規定となったのです。
つまり、製作委員会が実施する事業に、一部分であってもエビデンスがある形で従事していれば、純投資ではなく、金証法上の罰則は適用されないということになっています。
もちろん、それでもどこまでがOKかというグレーな部分は残りますし、余りルーズな管理を行っていては、運用規程で再度厳しく取り締まられる可能性はあります。
しかし、情報の開示や、出資者への説明責任の遵守、外部監査の受け入れ、従事状況のエビデンス化等をきちんとすれば、基本的には製作委員会形式での映画製作はリーガル的に可能になったと言っていいと思います。